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2024/03/16

自己破産とは?

神戸市の自己破産は神戸地方裁判所が管轄

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、借金の支払いの免責を求める手続きです。

「支払不能であること」
「免責不許可事由に該当しないこと」
破産が認められるには、この2つの条件を満たしている必要があります。

兵庫県在住の方が自己破産を行う場合には、神戸地方裁判所に破産の申立てを行います。

神戸地方裁判所には、その住所地によって10個の地方裁判所支部があります。

破産手続きは、その内容によって同時廃止又は管財事件という2つの種類があります。

同時廃止事件は3~5ヶ月、管財事件は半年~1年ほどの期間がかかるのが一つの目安です。

自己破産が認められる条件

自己破産が認められる条件

自己破産が認められるためには、大きく2つの条件を満たしている必要があります。

・支払不能(しはらいふのう)であること

・免責不許可事由に該当しないこと

支払不能とは?

自己破産が裁判所に認められるためには、支払い能力の有無がポイントとなります。

つまり、借金が2000万円あっても、支払い能力があれば自己破産は認められませんし、借金が100万円でも、支払い能力がなければ自己破産は認められます。

支払い能力があるのに自己破産を認めてしまうと、自己破産をしたほうが得だという理論で破産を選ぶ人も出てしまいます。

そういったことを防ぐために、「支払不能であること」を最低限の条件としています。

免責不許可事由とは?

借金を免責してもらうためには、一定の条件があります。

破産法では、「免責不許可事由」として、破産が認められない場合を列挙しています。

(免責不許可事由の例)

・財産の隠匿など(1号)
財産があるのに、財産がないように見せかけた場合、免責不許可事由となります。不動産の名義を自分名義から親族名義に変更するような行為も、これに該当します。

・換金行為など(2号)
破産を申立てる前に、換金目的でクレジットカードで購入する行為(ショッピング枠の現金化)は、免責不許可事由となります。

・偏頗弁済(3号)
特定のカード会社や、友人や親にだけ返済するなど、偏った弁済を行うと、免責不許可事由に該当します。

・浪費やギャンブルによる財産の減少(4号)
浪費や、パチンコ、競馬といったギャンブル・株、先物取引などによって、財産を減少させた場合には、免責不許可事由に該当します。

・詐欺による借り入れ(5号)
破産を申立てる1年以内に、カード会社に偽りの身分証明書を提示したり、偽りの所得証明書を提出したりして、融資を受けたような場合には、免責不許可事由に該当します。

・その他(6号~11号)

上記以外にも、偽りの書類を提出するなど、裁判所への背信行為があると、免責不許可事由に該当します。

免責不許可事由に該当しても、絶対に破産できないというわけでもありません。

借金原因を十分に反省し、今後の生活を改める姿勢を示すことによって、裁判所は自己破産を認める可能性があり、これを「裁量免責」と言います。

自己破産のメリット

借金の支払いがなくなる

自己破産が認められると、クレジットカードの返済やローンなど一般的な支払いは全て無くなります。

しかし、自己破産をしても免除されない債務というものもあります。

・国に納める税金や保険料

・悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権

・故意または重過失による人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償権

・雇用関係に基づいた使用人への給料と預り金

・養育費や婚姻中の生活費

こうしたものは自己破産をしても免責されないので、自分で支払方法を考えなければいけません。

一部の財産を残しながら借金の支払いはなくせる

自己破産をしても全ての財産がなくなるわけではなく、一部の財産は残せます。

例えば、現金であれば99万円まで残す(自由財産の拡張)ことができます。

その他、差押禁止財産(日常の家財道具など)や、破産手続き開始後に取得した財産(新得財産)も、手元に残すことができます。

・20万円以下の預貯金(口座が複数ある場合はその合計額)

・20万円以下の保険解約返戻金(契約が複数ある場合はその合計)

・20万円以下の査定価値の自動車

・賃貸物件の敷金返還請求権

・支給見込額の1/8相当額が20万円以下の退職金債権

このような財産は、基本的に残すことができます。

債権者からの督促や請求がなくなる

自己破産を弁護士に依頼すると、支払いを滞納していても督促が止まります。

また、破産申立て前でも、依頼された後は全ての支払いをしないで大丈夫です。

差押えなどの執行が停止する

自己破産の申立てが裁判所に受理されると、執行停止の効力が発生します。

お給料に差押えが入っている場合や、銀行口座に差押えが入っている場合でも、その差押えの手続きは一旦停止します。

また、差押えを抑制する働きがあるため、これから差押えが入ることもありません。

自己破産のリスクやデメリット

ブラックリストになる

自己破産をすると、ブラックリストになります。

ブラックリストになると、5年~7年はクレジットカードやローンの利用ができなくなり、お金を借りることだけではなく、ショッピングローンもできなくなります。

また、保証人になることや、保証会社の審査に通りずらくなるなどの不都合も生じます。

裁判所や官報に記録が残る

自己破産を行うと、官報にあなたの個人情報(氏名や住所、破産した旨)が載り、事件番号が付され、裁判所の記録にも残ってしまいます。

一般的な職種であれば、官報は一度も見たこともないでしょうが、税務署関係・金融関係などの職種は、官報をチェックしているケースがあります。

自宅を失う

自己破産をすると、自宅は失うことになります。

「自己破産申立て後すぐに家をなくなるか?」という不安はあると思いますが、それはありません。

自己破産申し立ての準備、裁判所での諸手続きを踏んだうえで売却が始まるので、数か月はそのまま住めるのが一般的です。

20万円以上の財産を失う

自己破産をすると、20万円以上の価値のある財産を失います。

例えば、車やバイク、高級時計・宝飾品などがその例です。

また、保険の解約返戻金や退職金についても、破産申立て段階で受け取れるものは財産とみなされます。

退職金は支給見込み額の1/8にあたる金額が20万円以上の場合、生命保険などの解約返戻金(解約時に戻るお金)も20万以上の場合は、財産とみなされ解約対象となります。

保証人に影響を及ぼす

保証人付きの借金がある場合、自己破産をすると保証人へ請求が行われます。

この場合、保証人が支払いを続けていくか、保証人も自己破産などの対応を行うか?などの対策が必要になります。

職業制限がある

自己破産を申し立てると、一部の職業や資格を用いた仕事が、破産手続き中は行えなくなります。

よくある職種としては、警備員や生命保険募集人、宅地建物取引士です。

その他、士業、廃棄物処理業者や解体業、労働者派遣事業、金融商品取引仲介業、質屋営業など細かく規定されています。

自己破産後の生活はどうなる?

住むところはどうなる?

持ち家に住んでいた場合、所有不動産は換価されてしまうため、新たな家を探さなければなりません。

賃貸で住めるアパート・マンションを探すか、実家などに引っ越すのが一般的です。

すでに賃貸住宅に住んでいる場合には、問題なく住み続けることができます。

自己破産をした場合、賃貸人から賃貸借契約の解約申出が過去にはできましたが、平成16年の民法改正以降はその規定は削除されました。

つまり、自己破産を理由に賃貸借契約の解約はできないということです。

ただし、家賃滞納がある場合には、別の解約事由となるため、住み続けられるのが難しい場合もあります。

仕事は続けられる?

自己破産後も、仕事を続けることはできます。原則として「自己破産したこと」のみを理由に解雇することは認められていません。(それ以外の原因がある場合は、破産が引き金になることはあるかもしれません)

注意点としては、前述の「職業の資格制限」です。これは破産手続き中に課せられるものなので、破産が認められた後は関係ありません。

なお、破産をしたことは官報に掲載されるため、官報をチェックしている一部の職種については不利に働くこともあります。

家族への影響は?

ご家族への影響を心配される方も多いですが、自己破産の影響は本人に限られます。

つまり、ご家族のクレジットカードやその他信用に影響はありません。

ただし、あなたが自己破産する借金で、ご家族が保証人になっているものがあると、カード会社から保証人へ請求が行われます。

戸籍や住民票への記録は?

戸籍や住民票に自己破産をした記録はつきません。

過去には、自己破産情報が本籍地の役場に通知されることがありました。平成17年の破産法改正後は、自己破産情報の役場への通知もなくなりました。

ただし、役所で取得できる「身分証明書」という書類があります。そこで「破産されていないことの証明」を受けることができますが、自己破産をするとこの証明は受けられなくなります。

信用情報はいつ回復する?

自己破産をした場合のブラックリストの回復はいつか?という点です。

CIC・JICCにおいては、免責確定から5年で信用情報が復活します。

KSC(全国銀行信用情報センター)では、免責確定から7年です。

銀行の借入がなければ5年、銀行の借入があれば7年というのが、信用情報回復までにかかる時間です。

自宅を残すなら任意整理か個人再生

自己破産以外の解決方法とは?

支払いが無くなるのは破産のメリットですが、自宅を失うというデメリットもあります。

「自宅を残す」これを最優先事項で考える場合には、個人再生や任意整理も検討してみたほうが良いでしょう。

個人再生とは?

自己破産をしないでも自宅を残せるものとして、大きな役割を果たしているのが個人再生(こじんさいせい)という方法です。

個人再生では「住宅ローン特則」という制度があり、住宅ローンを個人再生の対象から除外できます。除外できる結果「住宅ローンには影響なし」家を残せるというわけです。

ただし、住宅ローンなしの持ち家の場合には「家を売却すれば借金を支払える」という考え(清算価値)が働くため、個人再生は難しくなります。

任意整理とは?

「個人再生も難しい」「でも絶対に家は残したい」この場合の最終選択肢は任意整理(にんいせいり)です。

任意整理は融通の利く手続きであり、持ち家に影響がないよう進められます。また、車やバイクなどの財産、奨学金にも影響がないよう進められるのも特徴です。

ただし、任意整理では、元金(借金)を36回~60回で払いきれなければいけません。

借金が大きい場合には「任意整理では払いきれない」というケースもあるのが懸念です。

神戸市在住の方が自己破産の申立てをする場合

自己破産を申し立てる裁判所

自己破産をするには裁判所へ申立てを行う必要があります。

そして、申立てのできる管轄裁判所というものが決められており、管轄外の裁判所に自己破産を申立てても受け付けはしてもらえませんので、注意しましょう。

管轄裁判所は、あなたが住んでいる住所を基準に決められています。

兵庫県内の裁判所について

兵庫県内には、神戸地方裁判所本庁を代表の地方裁判所として、明石支部・姫路支部・伊丹支部・尼崎支部・洲本支部・柏原支部・社支部・龍野支部・豊岡支部と10個の地方裁判所があります。

例えば、神戸市(西区以外)に居住されているなら、神戸地方裁判所本庁が管轄、明石市にお住まいの方は神戸地方裁判所明石支部が管轄となります。

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・弁護士:田中 克憲(中) 愛知県弁護士会/No.48067

・弁護士:宿谷 昌広(右) 兵庫県弁護士会/No.53295

・弁護士:髙田 辰治(左) 兵庫県弁護士会/No.52957

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